ノアコイン(NOAH)は、フィリピンの社会問題を解決するために開発された仮想通貨です。
一時期詐欺とのニュースもありましたが、それも含めて詳しく解説していきたいと思います。
ノアコイン(NOAH)コインとは
フィリピンでは他国への出稼ぎ労働者は人口の1割を占める1000万人といわれています。また、出稼ぎの家族への仕送りはGDPの約1割に上り、フィリピンの経済成長を支えています。年々出稼ぎ労働者の数は増え、それによるフィリピン国内への送金額も増えているという調査結果が出ています。
そこで問題となっているのが、海外送金の際の手数料です。
約2兆8000億円(2016年)が送金されており、当然手数料も莫大な金額となっています。フィリピンへの国際送金の手数料は年間で3500億円にも上ると言われています。
このような社会問題を解決するために開発されたのがノアコイン(NOAH)です。
莫大な手数料を支払うことなく国際送金を可能にするため、ノアファウンデーション(NOAH FOUNDATION)に開発よりプロジェクトが立ち上げられました。
NOAHコインの基本情報
公開日 | 2018年3月 |
総発行枚数 | 91,584,000,000 NOAH |
トークン種類 | ERC20 |
公式サイト | https://noahcoin.org/ |
公式Twitter | https://twitter.com/NOAHCOIN_Proj |
2018年3月にHitBTCに上場し、取引が可能となりました。
総発行枚数は当初約2000億枚でしたが、バーンによって現在の枚数に調整されています。
NOAH Projectとは
NOAH PROJECTは、ブロックチェーン技術を通じて社会革新をもたらし、世界の経済格差を解決するために努力しています。プロジェクトの収益の一部は、親会社であるNOAH FOUNDATIONによって寄付されます。
NOAHCOINを発行し、NOAH CITYで開発を行い、インフラ整備を行い、広告やプロモーションに寄付された資金を使用し、トークンを広め、NOAHCOINの流通を確保するプロジェクトです。 ノアプロジェクトの運営は、フィリピン経済の発展を促進し、フィリピンにおける様々な社会問題を解決するために、多くの業界の共感者によって設立された非営利団体ノアファウンデーションによって行われます。
NOAH PROJECTの一部は、異なる国の通貨がNOAHCOINと交換できるような金融インフラを開発しています。これにより、これらの国々間の金融取引の解決策が生まれます。
NOAHCOINの主な利点の1つはOFW(海外フィリピン人労働者)市場の送金です。フィリピンの労働者が家に送金する際に家族のために収入を得るために海外に行った有望な方法です。この市場の規模は3兆円に増加しています。
Horizon Manilaは、金融施設や大手企業が共同で、アミューズメント施設、ショッピングモール、ホテル、カジノなどの施設を設立する予定の、マニラ湾沿岸の大規模な再生プロジェクトです。
ノア・プロジェクトは、ノアコインを地元のインフラ・トークンとして使用するこのホライズン・マニラ地区の一部を構成する場所としてノア・シティを計画しており、このプロジェクトはホライゾン・マニラとの契約を正式に締結しています。
公式サイトからノアコインの概要について抜粋、翻訳しました。
要約すると、
- フィリピンの社会問題を解決すると共に、世界の経済格差解消を目的としている。
- 国際送金の問題を解決するため、金融インフラの構築を目指している。
- ノア・シティ内では、ノアコインで決済することができる。ホライゾンマニラ地区と契約済み
国際送金の金融インフラ構築、ノアシティの構想などかなり規模が大きいプロジェクトという印象があります。
詐欺疑惑情報まとめ
提携済みと思われていた機関からの無関係通知
フィリピン大使館
当初、NOAHプロジェクトは、国家プロジェクトとして宣伝されていました。
しかし、フィリピン大使館から下記のような通知があり、これをきっかけにNOAHプロジェクトへの信頼は一気に怪しくなりました。
通知
Posted on 14 Mar 2017 • として分類 Announcementsこれは、日本の市場で「事前販売」されていると言われている仮想通貨「ノア・コイン」についてインターネット上で広まっている情報に関するものです。
日本市民の皆様から受けた問い合わせに応え、当大使館はフィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)と証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に確認を行ないました。
フィリピン中央銀行によりますと、中央銀行は、ノア・ファウンデーション及びノア・グローバルイノヴェーションサービス(ノア・グローバル)に対して、ノア・コインの事前販売に携わる権限を与えておらず、また、ノア・コインを国家プロジェクトとして承認しておりません。中央銀行により行なわれた初動調査では、ノア・コインの事前販売活動は、会社定款に記載されたノア・グローバルの主要・副次目的からかけ離れたものです。
フィリピン中央銀行と証券取引委員会の調査では、ノア・グローバルに国債や証券、その他類似証券を販売取引するライセンスや権限はありません。
加えて、ノア・グローバルは、証券取引委員会に登録されている住所に実在していません。ノア・グローバルの事務所住所(タギッグ市フォートボニファシオのネット・リマ・ビルディング、正確には10/F, Net Lima Bldg., 5th Avenue corner 26th Street, Brgy. Fort Bonifacio, Taguig City)への現地視察と調査を行なったところ、当該企業はネット・リマ・ビルディングのテナントではありませんでした。
これらの観点から、市民の皆様はデジタル金融取引への従事には慎重になり、フィリピン中央銀行(http://www.bsp.gov.ph/)や取引証券委員会(http://www.sec.gov.ph/)などフィリピンの関連政府機関のウェブサイトを確認するようお願いいたします。
引用:フィリピン大使館
フィリピン航空
こちらも大使館と同様に、当初は協賛を受けているとの発表でしたが、フィリピン航空側からNOAHプロジェクトとは無関係であるという公式発表がありました。
泉忠司の存在
NOAHコインのICOを宣伝するにあたり、泉忠司氏が表立ってPRをしていました。
「億万長者量産プロジェクト」の中で、ノアコインをPRしています。
以前はADAコインを進めるDVDを販売し、その中でプレセールと合わせ購入者を募っていました。
上記の「国家プロジェクト」や「フィリピン航空」などとの提携話を交えて宣伝していたのも泉氏です。
また、泉氏は情報商材の販売も行っており、こういったPRの手法が投資家にうさん臭さを印象付け、結果として詐欺という話まで発展したのかと思われます。
返金騒動へ
こうした騒動は、プレセール募集期間中に起こった出来事だったので、すでに購入した投資家から返金を求める声が殺到しました。それに応じてNOAHプロジェクト側から返金を行うという前代未聞の事態に陥ってしまったのです。
現在もこのような騒動が尾を引き、敬遠する投資家も少なくはありませんが、冷静に考えると本当の詐欺であればこういった返金対応は行われなかったのではないでしょうか。
NOAHリゾート
NOAHプロジェクトが大々的に進めている計画です。フィリピンのミンダナオ島はリゾート地として有名ですが、そこにノアリゾートの計画があります。ミンダナオ島は、外貨獲得を目的として観光地として国を挙げて開発が進められている地域です。
私たちはNOAHコインを地方のインフラトークンとして使用するHorizon Manila内の場所としてNOAH CITYを計画しています。
さらに、ノア・リゾートがオープンしました。ノア・シティがどのようなものになるのか早期の体験を得るためのツアーが予定されています。
公式サイトによるとノアリゾートはすでにオープンしているとのことです。この地域はすでにリゾート地として確立されていますので、そこにNOAHコインが実用ベースでどこまで普及していくかが今後の価値に影響を与えると思われます。
ARK WALLET
NOAHCOINトークンを低コストで海外に出稼ぎをしているフィリピン人労働者を対象としたサービスを開発しています。ユーザーは交換代を支払って、NOAHCOINに日本円を変換し、SCI提供のARK WALLETにNOAHCOINを預けることができます。ユーザーはこのノアコインをすぐにフィリピンの家族のARK WALLETに送ることができます。
このコインは現在日本でしか入手できませんので、発表の更新を確認してください。
Ark Walletは、iOS、Androidで無料で使え、ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨の送金・受取りが可能とのことです。
NIPPON PAY
日本に本社を置くIT企業です。公式サイトによると、キャッシュレスソリューション提供企業であり、中国モバイル決済ソリューションを中心としたサービスから、EC ショップ向けの中国三大決済(WeChatPay、Alipay、UnionPay)サービスを提供しているそうです。
SCI(Satoshi Citadel Industries)
フィリピンのウォールストリートと呼ばれるマカティに本社を多くフィンテックの新興企業です。ブロックチェーンを利用し、金融ソリューションの提供を目的とする企業です。
どちらも比較的若い企業ではありますが、すでに多くのソリューションを出しており提携企業としては問題は特に感じられません。特にNIPPON PAYは複数のグループ企業を持ち様々な分野にソリューション展開しています。注目は、中国版LINEと言われるWeChat向けにモバイル決済サービスを提供している点です。
ARK REMIT
ノアコインを送金するためのWebプラットフォームです。このシステムを使うことにより、国際送金では約10%の送金コストがかかっていたのにたいし、2~3%のコストで送金が行えるようになります。
NOAHコインの機能
1. Noahの経済圏およびエコシステム内における決済手段
内部トークンは、Noahの経済圏における決済手段として、さらにサービスの決済用に使用されます
1. 顧客ロイヤルティ・プログラムおよびキャッシュバック・プログラムのツール
内部トークンの使用によって、お客様はNoahのボーナスプログラムへの参加が可能となると同時に、ショップパートナーでの特定カテゴリーの購入に対して、追加のキャッシュバックを受けることができます
1. 送金にかかる取引コストを低減し、金融の境界線を開く価値移転ツール
主な関心は、日本のコントリビューターに対して、フィリピンのプロジェクトへの容易なアクセスを提供することに集約されており、これによってコントリビューターは、最少の取引コストで資金を移転することが可能です
ホワイトペーパーからの抜粋です。
※ノアコインの性能について
ホワイトペーパーや公式サイト内には、決済速度、セキュリティ面などに関する詳しい情報はありませんでした。
ホワイトペーパー内で、ERC20規格規格であることのメリットの解説がありましたが、それに留まる内容でした。
ロードマップ
今後控えている動きは、
- Ark Walletのローンチ(2018年第1四半期)
- Ark Remitのローンチ(2018年第3四半期)
- NoahリゾートでのNoahトークン利用開始(2022年)
- NoahシティーでのNoahトークン利用開始 (2023年)
ウォレットなどの送金の仕組みを整えたあとは、2022年まで目立った計画はありません。
ノアコインの最新情報
Breaking news! Noah Coin is now trading on three more exchanges – Livecoin, Mercatox and BTC-Alpha 👌Check out our blog for details💁♂️ https://t.co/wmHDHv9p0j #noahproject #noahcoin #cryptocurrency #token #blockchain pic.twitter.com/3WdF4ZM6Ot
— NOAHCOIN Official (@NOAHCOIN_Proj) 2018年5月19日
5月19日にLivecoin、Mercatox 、Alpha の3つの取引所に同時に上場しました。
これを受けて相場も一時急騰しました。
今後の価格考察
現在の価格と時価総額です。
時価総額ランキングは1300位前後と、かなり下位に位置する銘柄です。 24時間の取引高も1億5000万円と、この時価総額のランキングでは特に目立った金額ではありません。ごく平均的な出来高といえます。
あまり売買は活発に行われていない印象です。
しかし、今回3つの取引所が追加で取り扱いを始めたことで流動性が向上し、取引が活発に行われることに期待が持てます。
ホワイトペーパーによると、市場には約300億枚が流通する予定です。
NOAH Foundationのリザーブとして1600億枚と大量に保持されることになっています。この分の取り扱いが今後どのように扱われるのかが価格に影響を与えてくると思います。
当初ノアコインの総発行枚数は2000億枚でしたが、約900億枚へ大幅に枚数調整がされています。これにより以前より価格の伸びしろが倍になったと考えることができます。
上位にランキングされている総発行枚数1000億枚前後の通貨の価格を参考にすると、数円から数十円までの価格帯までの伸びを期待することができます。
また、ウォレットやWebでの決済サービスの公開が控えていることから、それに向けて価格が上昇していくことも考えられます。
出来高が低いため新しい材料の発表などで、今回のような突発的な値上がりが予想されますので、高値での買ってしまわないように売買のタイミングに身長になる必要があります。
材料発表による高騰を狙って高値で売り抜ける戦略か、2020年以降の実用まで長期でホールドする戦略が考えられます。
ノアコインが売買できる取引所
ノアコインを扱う取引所は複数ありますが、最も取引高が高く売買しやすい取引所として、HitBTCをお勧めします。
HitBtcにビットコインやイーサリアムを送って取引をする際、コインをメインアカウントからトレードアカウントに移さないと取引ができませんので注意してください。
HitBTCは、現在日本人の利用を停止しています。(取引所の利用自体は可能のようですが今後資金が引き出せなくなる可能性があるためお勧めしません。)
現在は、HitBTCの他にLivecoin、COINSWITCHChangenow、MERCATOX、BTC-Alpha、Yobitでノアコインを購入することができます。
Binanceなど大手取引所への噂もありましたが、比較的小規模の取引所での取り扱いにとどまっています。
頻繁に取引をしないのであれば、上記取引所で購入後ウォレットでの保管をお勧めします。
2018/8 追記 NOHAコインの最新情報
記事を公開したのが5月の中ごろでしたが、それから約3か月。
ビットコインの暴落をはじめとする仮想通貨市場の低迷期に入り多くの銘柄が暴落しました。
ノアコインも例外ではなく、
5月から値を上げてピークでは日本円換算で約1円をつけましたが、現在では約10分の1の0.1円程に価格が暴落してしまっています。
価格暴落の背景としては、ノアプロジェクト自身によるものよりも、ビットコインの低迷につられた形が大きいと思われます。
ノアだけではなく、当初の1%の価格になってしまった銘柄が200以上もあるという調査結果も出ており、市場全体の流れに押されてしまったというのが現在の状況を表すのにふさわしいのではないでしょうか。
しかし、市場全体が低迷する中でノア自体はプロジェクトの推進を止めておらず、様々な活動をしているようです。
以下に、これまでのNOAHの動きをまとめます。
建国記念日(6月12日)からの動き まとめ
6月12日はNOAHプロジェクトの中心であるフィリピンの建国記念日でした。それに合わせいくつかの発表がされました。
PayRemitとの提携
大手オンライン決済サービスpayremitとの提携が発表されました。
PayRemitは中東やアジア、欧州を中心にサービスを展開しており、買い物や様々な決済を行えるサービスです。
PayRemitは冒頭でも触れた海外出稼ぎ労働者(OFW)に向けたサービスでもあります。
現在実際にPayRemitを利用してNOAHコインによる決済が可能となっているようです。
NOAHにとって大変大きな材料ですが、目に見えて価格に影響を与えていないことからまだまだ普及率は低いことが考えられます。
Noah Ark Technologies Limited 東証二部上場の動き
正しく言うと今年6月、東証二部のビート・ホールディングス・リミテッドに対してノア・アーク・テクノロジーズ・リミテッドが買収提案をしました。
提案条件は、社名を「ノアコイン・グローバル・リミテッド」とするなど、完全子会社化が目的とうかがえる内容となっています。
ノア社は、将来的に仮想通貨取引所を開設しようとしており、その足掛かりとしてこのような買収計画を立てたと思われます。
まだ、この買収の動きに関する続報はありません。
東証側も、仮想通貨やノアコイン自体に対する信頼がまだ薄いことから慎重になっているようです。
CoinPaymentsでノアコインが決済可能に
8月15日からカナダ発の仮想通貨決済サービスCoinPaymentsでノアコインによる決済が可能になりました。
Last week we announced the truly thrilling news: Noah Coin got listed on CoinPayments – the world’s largest crypto processing platform. Check out the article on @CryptoCoinsNews to learn more.#noahproject #blockchainhttps://t.co/AHbMtWPbai
— NOAHCOIN Official (@NOAHCOIN_Proj) 2018年8月22日
CoinPaymentsは、世界180国以上にサービスを展開し利用できる店舗も200万以上とかなり大きな決済サービスです。
様々な仮想通貨を自動で返還できたり、ドルとユーロに限り、直接銀行口座で出し入れすることも可能なとても便利なサービスです。
決済サービスでの利用は実需の増加が期待できますが、実際のところこのサービスで利用できるコインの数は800を超えており、ここで決済できるようになったからといってノアコインに対するインパクトは小さい印象です。
NOAHコインの現在の状況
フィリピン建国記念日6/12を起点にノアコインの価格は下降トレンドに入ってしまいました。
投機のセオリーは「期待買いの事実売り」ですので、数年スパンでの長期保有を考えている場合はこの投機的な売りはあまり気にする必要がないと考えています。
上記と重なり、タイミング的にビットコインの下落に巻き込まれたことが現在の低価値となっている主な原因と考えられますので、ノアプロジェクト自体に大きな問題があったわけではないと考えられます。
また、投資家(コイン保有者)を第一に考える仮想通貨プロジェクトが多い中、ノアプロジェクトは投資家の利益よりも実需をより優先する動きが多く見られますので、あまり現在の価格を意識する必要もないと思われます。
しかしながら、多くのノアコイン保有者が価格下落により大きな含み損を抱えていることは間違いないありません。ノアコインの投資する場合の今後の戦略としては、底値を確認して買増しし長期(本格的な実用が始まる2022~2023年)が一番無難な線ではないでしょうか。
プロジェクトの動向の他にもビットコインのトレンドを注視することで、より損失の少ない底値での購入が可能になるかと思われます。
NOAHコインの現在の状況ですが、直近のCoinPaymentsへのリストアップ後は目立った動きはありません。
しかし、公式Twitterでは、毎日情報発信が行われプロジェクトが止まることなく稼働していることが確認できます。
Got loved ones back in the Philippines? Here are your options for sending money. https://t.co/lr9pa9ENSn
— NOAHCOIN Official (@NOAHCOIN_Proj) 2018年8月27日
Twitterから発信される情報は、フィリピンへの国際送金に関する内容が多いですね。
価格に影響を与える材料は比較的少なめですが、当初の目的がぶれることなくプロジェクトが推進されていることは大変評価できる点だと思います。
以前のような、バブル的な値上がりはなかなか期待することはできませんが、ノアコインの場合実用ベースでの普及に期待しホールドするのがベストではないかと思われます。
気長に待ちましょう!
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