「移動平均線大循環」とは
移動平均線大循環の特徴は、マーケットの状態が一目でわかることにあります。
しかもこれは分足から長期の足まで共通して使うことができる手法です。
この手法は、短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の3本の移動平均線を使う手法です。パラメーターは一般的には、5日、20日、40日が使われます。
移動平均線の種類は指数平滑移動平均線(EMA)が最適と言われています。
この3つの移動平均線の位置関係を見ることで、相場の方向感を視覚的に判断することができます。
為替や株だけでなく、最近ではこの手法を利用して仮想通貨でも有効性を実証している方も多く見られます。
この手法は、シグナル系のインジケーターと違い、売りや買いのサインを点灯させるものではなく、その時点で売りまたは買いのどちらに優位性があるか判断するのにとても適しているテクニカル指標です。
買いに優位性がある場合
●上から、短期・中期・長期の順に移動平均線が並んでいる。
●三本の移動平均線が全て上を向いている。
売りに優位性がある場合
●上から、長期・中期・短期の順に移動平均線が並んでいる。
●三本の移動平均線が全て下を向いている。
このように、相場の大局を読むのに移動平均線大循環は大変適しています。
相場の基本は順張りです。また、トレンドは一方向に継続して動くのが特徴なので、より優位性のある方向にエントリーすることで当然勝率は上がっていくことになります。
移動平均線大循環のサイクル
参考:岡三オンライン証券
前述したトレンドが明確に発生している期間は、ステージ1の安定上昇期とステージ4の安定下降期になります。
この図では時計回りにステージが移行していますが、これを正順といいます。これが逆回りになると逆順になります。
相場のほとんどは正順でステージが移行していくといわれています。
移動平均線大循環の性質を理解しよう
◆相場のほとんどは正順でステージが移行する。残りは逆順。
◆ステージは1段階ずつ移行する。ステージが飛ぶことはない。
◆ステージ1、ステージ4は長く続くことが多い(トレンドの発生)
◆ステージ2、3、5、6はトレンドの変化または停滞期なので移行が早い。
◆ステージ1、4が長く、2、3、5、6が長い時はもみ合い相場である場合が多い。
循環を実際のチャートで検証
ドル円の1時間足です。
●青線 = 短期移動平均線
●黄色 = 中期移動平均線
●赤色 = 長期移動平均線
です。
第1ステージまたは第4ステージが成立してから、相場にトレンドが形成されていることが良くわかります。
逆に、それ以外の第2、3、5、6ステージでは方向感がなくもみ合いとなっている場面が何点か確認できます。
チャートを大きく見ると、ジグザグでレンジに近い形を作っていることがわかりますが、ジグザグを形成する一つの波動を見ると第1または第4ステージが成立してからは価格がしばらく一方向に動いているのがよくわかります。
中期線と長期線に注目(帯)
トレンド発生の判断するにあたり、短期、中期、長期線の並びとその向きに注目したのが移動平均線大循環ですが、ただ単純にそれだけを意識してもうまくトレンドに乗れるわけではありません。
例えば、
第1ステージ成立が確認できたのでトレンド発生と判断 → トレンド発生せずそのまま次のステージに移行
チャートの急騰or急落などにより一時的に短い間第1ステージまたは第4ステージが発現することがあります。
「トレンドが発生しなかった」または「トレンドが弱かった」ということになりますので、3本の移動平均線の順番だけではなくトレンドの強さを見極めることが重要となってきます。
そこで注目するのが、中期線と長期線の関係です。
短期線は一番動きやすく相場の大局を見るには向きません。それに比べ、中期線と長期線は変化の幅が少ないので、この二つの移動兵器戦に注目することでトレンドの強さを見極めることができます。
具体的に何を見るかというと、中期線と長期戦の間隔(帯)です。
図の緑の部分が帯です。
この帯の部分が広いほどトレンドが強いことを表しています。
緑で塗りつぶした部分が中期線と長期線の広さです。
緑の面積が広いうちはトレンドが継続していることが分かります。
緑の面積が狭くなったところでちょうど明確にわかるトレンドが終わっています。
逆に、赤線で囲んだエリアは、中期線と長期戦の間隔が狭くなっていて、方向感のないもみ合い相場になっています。
帯が狭くなったり中期線と長期戦の位置が一定しない場合は、次のトレンド発生、またはトレンド転換の前兆にもなります。
帯の性質をまとめてみましょう。
- 中期線と長期戦の向きが同じで、帯が広い場合は強いトレンド継続。
- 帯が狭く向きも一定しない場合はもみ合い相場。
- 帯が狭いもみ合い相場は、トレンド発生・トレンド転換の前兆。
移動平均線大循環のみでトレードしてみた(検証)
実際に過去のチャートに短期・中期・長期の移動平均線を表示させ移動平均線大循環のみで検証してみました。
3本の移動平均線がステージ1またはステージ4への移行をサインにエントリーした場合の検証です。
利益確定や損切りは特に決めず、どの程度継続したトレンドに乗ることができるのか見てみましょう。
ドル円の4H足です。移動平均線大循環を使い、ステージが1または4に移行した際に機械的にエントリーしてみました。
赤矢印は、移動平均線がステージ1または4に移行した部分を指しています。
赤丸は、移動平均線がステージ1または4に移行した時にエントリーするシグナルのポイントを指しています。
移動平均線のステージが変化した瞬間にレートがどの位置にあるのかわかりやすいように緑の縦線を引きました。
ステージが移行した瞬間にエントリーしてタイミングばっちりで大きなトレンドに乗れたのは10回エントリーして①と⑧の2回でした。
※③と⑦でのエントリーもある程度の値幅は取れそうですが、エントリーしてすぐにステージが移行してしまっています。
①と⑧の共通点は、トレンド発生前に3本の移動平均線が絡み合いステージが目まぐるしく変わるもみ合い相場があることです。中期線と長期戦の帯も狭く方向感がありません。その後、ステージ1に移行しすぐに大きめのトレンドが発生しています。
※画像では見えませんが、①の前にもステージが1周するもみ合いが発生しています。
③~⑦は明らかなもみ合い相場ですね。細かく利確していくことも可能かもしれませんが、中期線と長期戦の帯も狭く継続したトレンドに乗るのは難しくなっています。
もう一つの注目点は、②と⑨です。
急落(または急騰)に移動平均線の変化が間に合わず、ステージが変化した頃にエントリーしても安値掴み(または高値掴み)のリスクの高いエントリーになってしまっています。
移動平均線大循環は急騰・急落の多い相場では機能しないということがわかります。
以上の検証から、移動平均線大循環を利用してトレンドに乗るには、
- もみ合い相場からのトレンド発生を待つ
- 帯の幅に注目し、方向感のないもみ合い相場での取引は避ける
- 急騰・急落が多い相場では、移動平均線大循環は無視する。
以上の検証は、あくまでも移動平均線大循環のみを使ってトレンドを狙いにいった場合の結果なので、他のインジケーターやラインを使うことでエントリーの精度が高まることが期待できます。
まとめ
前項のようなステージの移行をエントリーのサインとすることも有効な手法です。
個人的には、トレンドの発生の有無とトレンドの強弱を計る指標としてより優位性のあるエントリーをするために活用するのがベストだと考えています。
今後、移動平均線大循環と相性の良いテクニカル指標があれば紹介していきたいと思います。
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